「浪漫工房」の活動 (74)
さて今回ですが、先日のP144で「T-34-76 1940年型」の自分の在庫をほぼ
売ってしまいましたので、これを機に以前、撮影したけれどブログにUP
し損なっていたこの製品の開発時の写真を使い、この製品の最後の宣伝と
ユーザーサポートを兼ねて開発記と製作時の注意のおさらいを書かせて
頂きたいと思います。
この製品ですが、リリース準備が完了したのが2020年末で、その頃当ブログ
にてこれの原型製作に関して書かせて頂きました。その後翌年の初頭に
ホビーショップサニー様にごく少量置かせて頂きました。その関係で直後に
製品の製作時の注意事項に関して書かせて頂きました。まずそれらで書かれ
なかった原型からシリコン型を作成するあたりの事について書かせて
たいと思います。
まず1枚目の写真ですが、原型がほぼ完成したもの(全体にグレーサーフェイ
サーをとふする前の状態)です。転輪は一つ作ってポリパテで複製、履帯は
一枚々々プラ板から作ったものとある程度の枚数を作って複製したものとの
複合です。
2枚目の写真は原型にグレーサーフェイサーを塗布し、Mr.型取りブロックと
ポリ板、スチレンボードの複合で枠を作って粘土を半面分入れて原型を埋め
て、注型用のランナー部も作って埋めて半面型を作ったものです。なお、
シリコンゴムを注入した際に漏れがないよう、内側はしっかりマスキング
テープを貼り、外側を針金と紐で縛ってます。
一つ前の製品、1/350のG-5級との違いですが、G-5級の方ではなるだけ
通常のインジェクションプラキットのようにランナーが部品を覆うような
配置、特に部品の樹脂、空気抜きの方向に横一列に抜きのランナーを配置
していたのですが、これがあると反って先に樹脂が流れて部品同士で流れ
を阻害し、空気溜り-見た目上は気泡跡の大きいもの-が出来やすいと分か
りましたので、今回は部品を幾つかのブロックに分けてブロックごとに
のみ繋げるようなランナー配置にしました。
3枚目の写真は2枚目の状態の半面にシリコンゴムを流した所で、今回は
これを流した段階では加圧脱泡器にかけずに普通に、2回に分けて流しまし
た。これはシリコンゴムを流した段階でかけると思わぬ所に変な大き目の
空気溜りが出来る可能性があると分かったからです。もちろん通常の常圧
長しなので1回ごとに気泡は針でつつくなどして原型から離し、表面に上
げるようにしたりブロワーをかけるなどして潰すようにしてます。
4枚目の写真はシリコンゴムが硬化した所でひっくり返して粘土を剥がした
所です。この後、離型剤を塗ってこちら側にもシリコンゴムを同じように
2回に分けて流します。
5枚目の写真は反対側のシリコンゴムも硬化した後、両面を剥がして中の
原型、ランナー部分を取り外した所です。この後、レジン離型用の離型剤
を吹き、ベビーパウダーを軽く振ってまた両面を合わせて圧力鍋改造の
加圧脱泡器に入れます。
6枚目の写真はそうして圧力鍋改造の加圧脱泡器に入れた所です。しかし、
圧力鍋に段ボール紙を何層も重ねてクランプ代わりにするなんて事をやって
いるのは私だけでしょうね。この後、混合したレジン(無発泡ウレタン)を
流し、鍋の蓋を閉じて空気を多く入れて加圧脱泡します。
7枚目の写真はそうして流したレジンが硬化したので片面を外してみた所で
す。若干バリがありますが原型から遠い所ですし、原型についている物も
出荷前に大きいものは取ってしまいますので問題ありません。
8枚目の写真はそうして型から外し、余計な部分を切り取って説明書の上に
載せた所です。これをビニール袋と箱に入れて製品化完了です。
9枚目の写真はその製品の部品を切り離して組み立ててグレーサーフェイサ
ーを塗った所です。この組み立て時の注意事項も再度書こうかと思ってまし
たが、ここまでで長くなってしまいましたので、以前このブログに書かせて
頂きましたその記事にリンクさせて頂くだけにしたいと思います。
最後にこの製品ですが、若干数「模型探偵団」様の方で所有していると思い
ますので、今後はワンダーフェスティバルの「模型探偵団」様卓の方で
ご購入頂ければ、と思います。価格も同じと思います。
(続く)
JUGEMテーマ:模型製作
- 2022.11.22 Tuesday
- 模型:ガレージキット開発
- 22:38
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- by コウ中村