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映画「風立ちぬ」(2013)感想(9)

以前書いた、ホビージャパン誌で大塚康生が宮崎駿とその画に関して
紹介している号が実家の押入れを整理していてたまたま見つかったので、
今回はそれを紹介してみよう。

それはホビージャパン誌1973年9月号で、載っていたのは「MILITALY
CONFIDENTIAL」という大塚康生の「'73年ミリタリー・モデル界の展望」
(副題)という記事で当時新発売されたマックス模型の「フォードGP」と
いうカートゥーンモデルを紹介している部分に載っていたのである。



そこをスキャンして載せてしまうと著作権的にまずいので、文章を
一部抜粋してみよう。
「オリジナルイメージを本誌でも一時飛行機の漫画のイラストをかいた
ことのある宮崎はやおさんが提出し,マックスの設計者がこれを
何度も木型にして修正してゆくという作業の末に生まれたもので,宮崎さん
は元来漫画映画のシナリオライター・アニメーターを商売にしている人だが
大の飛行機マニアで,戦車から船までありとあらゆるものを漫画にして
しまうという天才である.」

・・・と大塚康生は絶賛している。これはマックス模型の新製品紹介記事なので
「自分の関係しているプラモメーカーのキットを持ち上げている」的な
記事になっているのだが、このキットのプラモ史上の歴史的意義とか
宮崎駿の能力を考えると、こう書くのも当然と言う気がしてくる。

この文章と、小さな宮崎駿の飛行機のイラスト(カット)が載っているが、この
飛行機がまた宮崎駿らしい、2次戦中のドイツの軍用機だが「ありそうで
なかった機体(高翼単葉だが、魚雷を積んでいる)」なのである。

このイラストのキャプションはまた大塚康生で、「宮崎はやおさんの描く
漫画の飛行機の一例.巧みにディフォルメされ特徴をとらえた描き方を
してあるが」等と書かれている。

所でこのマックス模型のフォードGPであるが、残念ながら私は所有して
いないのであるが、やはり伝説的なキットなので、ネットにも
情報は沢山載っているのであるが、このキットの箱やインストに「基本
デザイン:宮崎はやお」などという表記は全くなされていないようだ。
また、その後大塚康生は「大塚康生のおもちゃ箱」でもこのキットを
出した頃の事を書いているが(監修をしたらしい)、宮崎駿が基本デザ
インをした事は載っていない。大塚康生が忘れてしまったのか。

勝手な想像であるが、宮崎駿はこのキットの出来に不満があって、
基本デザインを自分がやった事をなかった事にして欲しがっているとか
・・・。
或いは、ジープに拘りの強かった大塚康生が宮崎駿の元デザインを
大塚康生の画の感じに変えてしまったとか・・・。

私もこの記事を改めて読み直すまで、このキットは大塚康生が基本デザ
インをやっていたのかと思っていた。やはり同じミリタリー系ファンの
中でも「大塚康生はジープと車両、宮崎駿はそれ以外」という
住み分けがあるような感じがしていたのである。

しかし、宮崎駿のちょっとしたカットでも収集したいというマニアな
方が現在いらっしゃるのかどうか不明だが、そういう方はホビージャ
パン誌のこの号とか、1971〜2年頃の幾つかの号はチェック必須という
事になる。

現在、宮崎駿に関してはネット上でもかなりマニアックなファンな方が
非常に細かいバイオグラフィを作られていらっしゃるようで、私も
今回こういう文を書いていて色々参考にさせて頂いているのだが、
ホビージャパン誌にイラストが載っていた事、フォードGPの基本デザ
インが宮崎駿である事は何故か全く載っていないのである。

以上、余談でした。

(続く)

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映画「風立ちぬ」(2013)感想(8)

前回、1980年頃、ちょうど私が大学生(四年制の一般的な私学)だった
頃に、ちょうど宮崎駿作品がよくTV放映されたり各地上映会で上映され
たり、友人に熱心なファンがいた関係で、宮崎駿作品を多く見る事が
出来た事を書いたのだが、それで改めて宮崎駿の作品年表を見直して
みて、ちょうど1979年に宮崎駿が初めて劇場用監督を行った作品
「ルパン三世 カリオストロの城」が公開されていた事を思い出した。

私はこれをリアルタイムで劇場まで見に行っているのであるが、特に
宮崎駿のファンだったからではなくて、「ルパン三世」自体が割りと
好きだった事、「カリオストロの城」の前年に公開された「ルパン三世」の
前年に公開された「ルパン三世」の劇場用長編第一作「ルパンVS複製人間」が
中々面白かったから、というものであった。

なので(というか?)、その感想としては「『カリオストロの城』はアニメと
して良く出来ているというのは分かるけれど、個人的には『ルパンVS
複製人間』の方が好ましい」というものだった。「ルパンVS複製人間」の
通俗的な雰囲気が好きだったのである。

それはともかく、改めて宮崎駿の作品年表を見返してみると、「カリオス
トロの城」が公開された翌年に「ルパン三世」の第二期のTVシリーズの
145話「死の翼アルバトロス」と最終話「さらば愛しきルパンよ」が放映
されている。

このような状況を現在振り返ってみると、恐らく一部のアニメファンの間で
一種の最初の方の宮崎駿ブームが起きていたのだと思われる。

そういえば、「ロリコン」という言葉が流行し始めたのもこの頃で、
ラナ、クラリスといった宮崎駿の美少女キャラも人気があった。

といっても、「カリオストロの城」の興行成績はいま一つ振わず、
そもそも「未来少年コナン」も初回放映時の視聴率はあまり良く
なかったので、この時期は世間的には一種のマニア受けの作家、
アニメスタッフのような扱いであったが・・・。

(続く)
 
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映画「風立ちぬ」(2013)感想(7)

前回、宮崎駿に関連して1970年代後半に流行したTVアニメの
例として「宇宙戦艦ヤマト」を挙げたが、これを挙げた理由は
もう一つある。

それは、雑誌名や年月ははっきり覚えていないが、1980年頃の
雑誌のインタビューで宮崎駿が「宇宙戦艦ヤマト」を
はっきりとは名指ししないが批判するような答えをしていた
覚えがあるからである。(ひょっとしたら同人誌に載ったもの
かも知れない。)

宮崎駿は「宇宙戦艦ヤマト」が放映されていた頃、TVアニメ
「アルプスの少女ハイジ」の場面設定、場面構成を担当していた。
それで「宇宙戦艦ヤマト」に対して、自分の方が大和などの
戦闘兵器は上手に描けるのに、下手に、しかも「まなじりを
決するような演出で描いている」・・・といった感じで
批判的な事を言ったのである。

ずいぶんな自信家、という感じもするが、宮崎駿の画の上手さを
考慮するとそのくらい言っても不思議でない感じはした。

もっとも、宮崎駿が「アルプスの少女ハイジ」の場面設定
などを担当していたのを知ったのは私が大学に入った後、
1980年頃である。(「アルプスの少女ハイジ」は本放映時は
私は既に中学生であった為もあって全く見ていなかった。)

大学入学後にアニメーション関係のサークルに入って、熱心な
宮崎駿のファンに数人出合った為、彼らに色々教わったのである。
そのお陰で各大学のアニメーション同好会その他の団体が主催して
いた上映会で宮崎駿関連作品を色々見る事が出来た。

また、宮崎駿は秋津三朗名義で、1969年頃、「週刊少年少女新聞」
という共産党系の年少者向け新聞に「砂漠の民」という漫画を連載して
いたのだが、これを国会図書館に行ってマイクロフィルムから
コピーして皆に分けたりした。もっとも、その後comicBoxという
雑誌で全回が復刻されたりしたが・・・。

こうして振り返ってみると、私はずいぶん熱心なファンだったよう
にもみえるが、自分としては宮崎駿はずいぶん変わったアニメーションの
クリエイターに思えたので、あくまで研究対象としてなるだけ
多くの作品を見ようとしていただけ、のつもりであった。

この頃、その当時の熱心だったファンの友人の一人が宮崎駿の
所属していたスタジオに連絡して、自分の大学での講演まで
依頼し、実現してしまうのだが、私自身はちょっと深く
関わり過ぎたような気もしていた。

(続く)
 
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