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1/76マチルダII Mk.I (5)

さてマチルダII Mk.Iの第5回である。

ここで、このマチルダに関わらず、私のプラモデルキットの製作スタンスと
このブログ記事スタンス全般についておさらいしてみたい。

まず、私が作るプラモキットは基本的に「スケールモデル」と言われる
種類のもの、つまり実物が存在する(或は過去に「した」)ものの
ミニチュアであるという事だ。

という事は、どうしても程度の差こそあれ、そのアイテムの実物に対する
考証は入ってしまう。

しかし、これをミニチュアとして作る場合に、何が何でも実物を縮小コピー
したモノが作りたいか、というとそういう訳ではない。

何せ、完璧な考証を求めてもそこは所詮1/72とか1/76とかいった非常に
スケールの小さいミニチュア。元々「ある程度」であって構わない
と思っている。
(学術歴史本の記述をする訳でも卒論書く訳でもないんだから。)
この他、「模型映え」とか、「ディフォルメ」という部分もあって
ワザと実物と変える、という事もある。
更に、実物がはっきりしなくても、そこを空想で補って作る場合もある。
その場合の「空想」は、自分の好みに傾く事が多い。

…で、このブログの記事であるが、最初に考証について書くがそれも
あまり凝ったものでなく、やはり「ある程度」に止めて書くようにしている。
ただこの「ある程度」は、私個人の匙加減によるものなので、読まれる方に
よってはそこが違ってしまい、違和感を感じる人もいるかもしれないし、
人によっては直接質問される方もいらっしゃるようだ。
これは仕方がないと思うが、読んで下さる方も「そういうものだ」と思って
ある程度のバッファを持って読んで頂きたいと思ったりもするのが事実だ。

そしてこのマチルダについてだが、まず連載の第一回で
「1940年のフランス・アラス戦で使用されたマチルダIIのMk.Iを作りたいと
思っていた」
「なお、マチルダII-Mk.Iには下部転輪の位置が通常より転輪半周りくらい
軸位置の下がったタイプがあり、アラス戦で使われた型はそれが多かった
(ひょっとすると全部かもしれない)ようだが、通常の位置のものも
存在したようなので、見た目は転輪位置が通常のものの方が車体高も
低くてスタイルが良いという理由もあってそちらにする事にした。」
と、記述した。

…つまり、下部転輪の位置が通常より転輪半周りくらい軸位置の下がった型
ではない、通常の位置の型がアラス戦で使われたかどうかに関しては
「存在したよう」の一言で片づけてしまったのだが、それだとあまりに
簡単に片づけすぎかな、とも思ったし、どのみちマーキングの説明の
際に改めて書こうと思っていたので、ここで追記する事にした。

尚、「下部転輪の位置が通常より転輪半周りくらい軸位置の下がった型」では
あまりに長すぎて記述が面倒なので、以後「転輪位置低タイプ」と略させて
頂く。

まず、マチルダ全般に関しては、オスプレイ/バンガードの「ミリタリー
イラストレイテッドNo.9/マチルダ歩兵戦車1938-1945」(日本語版)を
参考にした。
その中に、アラス戦で使用されたマチルダMk.Iに関する記述があって、確か
「一部に、下部転輪が標準でも側面の装甲板から下に大きくはみ出した
位置にあるものがあった」という旨の記述があったと思うのだ。

「あったと思うのだ」というあいまいな記述になっているのは、実は私は
この本を購入した覚えはあるのだが、整理が悪く行方不明になっており、
ちゃんと記述を引用する事が出来ないのである。

…なので記憶に頼っており、はなはだ心もとないのだが、これを元にすると
「アラス戦で使用されたマチルダMk.Iの一部は『転輪位置低タイプ』で、
他に通常位置のタイプもあった」
…事になる、と判断した。

…しかし、これはうろ覚えの記憶で、ひょっとするとアラス戦のではなく
Mk.I全般に対する記述だったかもしれない。
なので、改めてネットでも調べてみた。
すると、写真付きの下記ページ(スペイン語サイト)が見つかった。
http://www.taringa.net/comunidades/comunidad-taringuera-de-la-sgm/5343948/Batalla-de-Arras-1940.html

このページの一番上の写真のMk.Iであるが、キャプションが無いので
はっきりしないが、これからアラスの方に向かう列車に載ろうとしている
第7戦車連隊のある中隊のMk.I、という所だろうと思われる。
この写真では下部転輪の軸位置は通常のもののように見える。ただ、凸凹の
角材(?)の上を通って貨車に載ろうとしている所なので、サスペンションが
効いてしまっており、「転輪位置低タイプ」だはあるがサスが効いて転輪
位置がやや上、つまり通常位置にあるようにも見えてしまっている、とも
見れる。
(シビアに言うと橇も付けてないし、アラス戦に使用されたかどうかも
はっきりしないが。)

これ以外は、アラス戦で使われたと思われるMk.Iで、転輪位置が通常位置に
あると見えるような写真は見つからなかった。

「見ようによっては転輪位置が通常位置にあるようにも見える写真」は
見つかったが、写真の角度がかなり下からだったりする為の可能性も
あって、はっきりしなかった。

しかし、「アラス戦で使用されたマチルダMk.Iの転輪位置は全て通常より
低い位置にあるものだった」という記述も見つからなかったので、
「転輪位置が通常の型」もあった可能性もある、と判断したのである。

もっとも、私が見つけなかっただけでどこかにそう記述している資料や
ページもあるのかもしれない。

しかし、今回作っている模型に関していうと、マーキングもある程度
架空にして一種の「オレ戦車」として作りたかったので通常型として
作る事にしたのである。

…という事なので、この考証に対して一部の読者の方は疑問に思われるかも
しれないが、「必ずしも考証通りの模型を作ろうとしている訳ではない」と
言う事で、この点でのツッコミはしないで頂きたいと思っております。

逆に、「アラス戦で使用されたマチルダMk.Iで転輪位置が通常のもの」と、
はっきり分かる写真の載っているページなど教えて頂ければ有り難いと
思っております。

※今回、写真も図面も無しの文章だけの解説で分かり難かったかも
しれませんが、例えばgoogleで「matilda arras 1940」等と入力して
検索するだけで関係したページ、特に画像検索結果の方に参考になる
写真、図面等が沢山ヒットして見れるので、URLも多くは省略させて
頂きました。
尚、一応著作権に配慮しておりますので、海外のページに載っている写真を
DLして再アップする事はしておりません(許可が取れればOKですが、許可を
取る交渉をするのは非常に大変です。)。なので、過去の資料写真をこの
ブログにそのまま載せる事は今後もまず無いと思います。

(続く)
 
JUGEMテーマ:プラモデル




1/76マチルダII Mk.I (4)

前回で、このキットの歴史について少々述べたので、今回はその点を
展開させて、フジミの1/76ワールドアーマーシリーズの歴史についても
少々述べてみたい。

1-76matildaIImkI11

最初の写真は、モデルアート1972年1月号に載った広告で、No.1のキング
タイガーの広告。
何せシリーズの第一弾なので、相当リキの入った広告である事が分かる。
しかも、1/76のキングタイガーとしては初めてのキットなのだ。

1-76matildaIImk12

2番目の写真は、フジミの業界誌(広告誌)である「VOF」のNo.1の表紙の
一部。シリーズNo.6の38(t)プラガの箱画が使われている。
このVOF誌が模型店に無料で(当時は第一号だった事もあってチラシと同
じ扱い)並ぶようになった1972年の夏の頃はこのプラガが新発売されて、
その後秋か冬、年末にNo.8の、このマチルダまで発売されるようになった。
ラインナップは、

No.1… キングタイガー
No.2… KVIA
No.3… KVII
No.4… ヤクトティーガー
No.5… ヘッツァー
No.6… 38(t)プラガ
No.7… M4A3 105ミリ砲後期型
No.8… マチルダMk.III

といったもので、この他「ジオラマシリーズ」というシリーズ名で
No.1…ドイツ陸軍歩兵セット
No.2…ドイツ88ミリ砲
等が発売されていた。

こういったラインナップから、いかにフジミがミニスケールAFVモデルの
歴史に貢献してきたかが分かる。また、この1970年代初頭はミニスケール
AFVモデルやミリタリーモデルがこういった形で盛り上がっていったの
だなあ、という感慨も沸く。
(この当時の広告で、「マチルダMk.IV」と表示されているものがたまに
あるが、単なる誤植と思われる。)
このキングタイガー(現在フジミから発売されているキングタイガーは
元が日東のもので、こちらは絶版)は1/76で初めてのもののようだし
(これ以前にミドリからゼンマイで1/76と銘打ったキットが出てた気も
するが、あれはロコの1/87をお手本にしてほぼ同じサイズだったので1/76とは
言えないと思う。)、マチルダは全スケールを通してもフジミが初キット化と
いう事で、とても歴史的なキットだと分かる。

このような歴史的なキットを作るのだから有り難くキットの通りの型に
すれば良かったかもしれないが、アッサリMk.Iに改造しようというのだから
我ながらワガママである。

1-76matildaIImkI13

…といった所で製作記に戻りたいが、写真を見ても分かるように前回と
あまりぱっとした変化がない。
車体上面にしても側面にしても、Mk.Iにするので細々と修正や追加工作を
しているが、いちいちそれらを全部書いていると大変なので、今回は
略させて頂いて写真を見て想像して下さいませ(←手抜き^^;)。

(続く)
 
JUGEMテーマ:プラモデル




ウイリスMB/フォードGPW (17)

さて、ウイリスMB/フォードGPWの第17回。
引き続きS-modelのウイリスMBの紹介をメインに…と言っても弄りつつなので
紹介というより製作記にだんだんなってきているような気もするが…。

willys72Smodel04

今回の写真はA1、A2、A17部品を仮接着し、(14)で書いたようにショック
アブソーバーが付いていなかったので、前輪に付くもののみプラ棒と
ランナーでそれらしく作って付けた所である。

この画像だけでは画的にもつまらないので、かなり完成に近づいている
エアフ/エレールの方の進捗具合の写真を出してみたい。

willys72airhelle06

上写真がそれであるが、ギロチンワイヤーカッターとその支持棒をプラ板と
伸ばしランナーから自作して付けた所が以前の回のとの大きな相違点だ。
その他、ドライバーをキット付属のものの足腰にプラ板でスペーサーを
入れて一回り大きくして載せた。削りが不十分で妙に首を竦めたような
ポーズになってしまったのは今後の反省点である。

また、フロントウインドウ裏面側面部の、ウインドウ位置調整支持架(?)を
やはりプラ板と伸ばしランナーから自作して付けた。キットでは一応、
それらしいモールドがされているが単なる平面一枚板状態であった。

更に、フロントウインドウのワイパーを伸ばしランナーを利用して自作したり
した上、フロントウインドウ上部の、シート止めボタン(?)をエポパテを
ツマ楊枝の先でチョイチョイと載せるというやり方で再現してみた。
まあ現状のままでは「不揃いのリベット頭たち」状態なので硬化したら
また削るなりして調整してみる。

他、BOライトカバーを0.1ミリプラ板を曲げて取り付けた。

なお、このシート止めボタン、ミニスケではS-modelのキットのみ、再現
してあり(位置は若干おかしいが)、好感が持てる。

(続く)
 






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