映画感想『1944 独ソ・エストニア戦線』 (1)

さて今回は、久々に衛星放送TVで、ではあるが割と良い、と思った戦争関係の
映画を観たのでそれについて書こうと思う。(ネタバレ含む。なお、別に
最近公開されたばかりの映画という訳ではありません。)

 

それは2015年のエストニア映画(フィンランドが多大に協力している為、エス
トニア、フィンランド合作映画と解説される事もある)、
『1944 独ソ・エストニア戦線』である。

 

この映画は日本では劇場公開されず、DVDと衛星放送TVのみでの公開のようだ。
かなり地味で、第二次世界大戦中のエストニアが舞台という事なので止むを
得ないと思うが、『エストニア映画特集」とか、フィルムセンターとかイメージ
フォーラムなどであれば上映しても良いと思う作品だと思う。

 

↓「サクモコ」さん(多分公式)UPの予告編

 

原題は『1944』で、日本人だとこれだけだとスピルバーグの『1941』の続編
かい、と思ってしまうようなタイトルなので邦題で『独ソ・エストニア
戦線』と付け足したのは分かり易くて正解だろうと思う。戦争映画の邦題は
内容に関係なくやたら派手にドンパチをやってる感じのトンデモなタイト
ルを付ける事も多いので、これはまともな邦題の例だと思う。

 

内容は、邦題のタイトルの通り、1944年のエストニアが主舞台で、史実通り
ドイツ軍と旧ソ連軍が戦っているのだが、一般的な戦争映画と違うのは
そのドイツ軍側の兵隊もソ連軍側の兵隊もエストニア人である、という所
である。もう設定からして悲劇なのであるが、この映画はそれを声高に
叫ぶ事も無く、どちらかというと淡々と描いている。その為、当時の
エストニアの人々の悲劇性が余計に切々と伝わってくる。

 

史実通り、といってもこの映画に描かれた主人公達の細かいエピソードは
フィクションなのかもしれないが、或いはこうした事実もあったのかも
しれない。
この辺は資料が見つからなかったが、仮に全くフィクションだったとして
も、同じ民族がドイツ側とソ連側に分かれて戦わなければならなかった
事実は変わらず、実際にあってもおかしくないような事が描かれている
のでそこは問題ないと言える。

 

旧ソ連が崩壊したのが1991年で、これによって旧ソ連邦に編入されていた
東側の国々が独立を得る事となった。それによりそれらの国々が
ソ連の支配時代には出来なかった、旧ソ連の支配の酷さや第二次大戦の
時代、旧ドイツ軍だけでなくソ連の仕打ちも酷かった、という事を
を訴えた映画作品がどんどん出来るのではないか、と私は思ったのだが
それらが小国でそうそう戦争映画が作れるほどの余裕がある訳ではない
事もあってかなかなか出現しなかった、という印象があったので、この
映画はようやく出たか、と言える映画であった。

 

一口に映画と言っても色々あるし、戦争関係の映画と言っても色々ある。
私は自分のホームページで映画関連のコンテンツを持っているが、そこで
取り上げたものはメインコンテンツの模型趣味に合わせた映画で、その
為、映画として傑作、良作かどうかより、模型趣味的にネタになるかどうか
という指針で選択していた。その為ある意味自分で自分の首を絞める
ような感じとなり、映画自体取り上げる事が難しくなってしまい、結局
6作品しか取り上げられないまま10年以上過ぎてしまった感がある。

 

まあ、年齢によって映画の好みも微妙に変わる所はあるのだが、作っている
模型が戦争関係が多いので映画もジャンル的には戦争関係が多い。しかし
ホームページの所よりはこちらの方が自由に書ける、というのはある。

 

では、映画の概要をなぞりながら感想を書いてみよう。

 

まず、映画の時代背景の短い文字説明があった後、主人公の回想のような
ナレーションが始まる。それはドイツの武装親衛隊(第20擲弾兵師団・
エストニア人部隊・第3小隊)に属する主人公のカール・タミク上等兵が
塹壕の中で戦友に語っているものであった。そこでカールの両親と妹が
ソ連によってシベリア送りにされた事が語られる。
そこへT34戦車隊と歩兵部隊混成のソ連軍が急襲してきた。
味方は塹壕の歩兵部隊と多少の対戦車砲のみで、明らかに主人公側に
劣勢な感じ。そこに悲劇的で重厚なテーマ曲が流れ、もう最初から
どんな映画か、が感覚的にすんなり感じられるように演出されている。
そういう意味では分かり易い映画だ。
なお考えすぎかもしれないが、このくねくね曲がった塹壕を俯瞰で見た
部分は、ナチスの鉤十字マークを歪ませたものにも見えた。

 

サム・ペキンパー監督の映画『戦争のはらわた』を過去に見ている人なら
それをちょっと思い出させるような映像なのだが、設定が設定なので
偶然かも知れない。まあ『戦争のはらわた』と違ってソ連軍が自軍の
少年兵をいきなり撃ったりする所はない。
その辺はともかく、主人公達の必死の抵抗によってか、或いはソ連軍が
相手を見くびり過ぎていたか、でとりあえずはこのソ連軍の攻撃は
何とか撃退された。
その後デンマークからの補充兵が来て、翌日にカール達の部隊は
墓場近くのソ連軍の陣地を攻撃に行き、何とか占領する。
この辺までは主人公側が勝利しているのだが、描き方が主人公達が
非常に辛そうに戦っているように描いているのでちっとも勝利している
感じがしない。


彼らはソ連軍と戦う為ドイツ軍に志願したものの本意ではなく、部分的に
勝利してもリトアニアの独立にはほど遠く、戦闘にウンザリしている
…そんな雰囲気なのだ。何となく『西部戦線異状なし』を思い出させる。

 

話が前後するが、主人公がナチス武装親衛隊の外国人部隊員で、彼らを
悪役として描かない、という映画は非常に珍しい。『ナチス親衛隊』は
一般的な戦争映画では悪役中の悪役とされる事が多く、外国人部隊員で、
止むを得ない事情があるとはいえナチスに忠誠を誓った人達でもきちんと
人間として描こうという姿勢が感じられて非常に好感が持てた。

 

その後カール達の部隊はドイツ軍によって顕彰されてヒットラーの
サイン入り写真を渡されるが、カール達はその写真を嘲笑し合って
ヒットラーやナチスの支配に飽き飽きしている感情を露わにするの
だった。

 

そしてカール達の部隊はドイツへの退却を命じられる。多くはエストニアを
離れる事を良しとしなかったがとりあえずトラックで退却する事になる。
その道中でやはりドイツへ避難する民間人の列と民間人の自衛部隊(民兵)の
人々と合流するが、そこでソ連空軍機からの攻撃を受ける。
(このソ連機は模型かCGと思われるがちゃんとイリューシンIL2型の形状を
していた。旋回部分の出来はあまり良くなかったがそれ以外はまあまあ。)

 

そこで数人から十数人の民間人とカールの部隊員が犠牲になるが、
カールは間一髪で民間人の少女を救う。そして部隊長は助かった
民間人をトラックに載せ、元々ドイツではなく北欧に脱出しようと
していた運転手の隊員に彼らを任せ、カールと他の部隊員とソ連軍の
侵攻に抵抗しようとタルトゥという場所に移動し、陣地を築く。

そこへ避難せずに残っていた一組の農民夫婦が食料を差し入れにやって
くる。彼らはソ連が侵攻してきても民間人全員は追放できないだろうと
考えて残っているのだった。(ここでの兵隊同士の会話に『西部戦線異状
なし』の一部セリフが登場している。)

 

そして陣地をすっかり構築した後、ソ連軍がやはり戦車部隊と歩兵部隊の
混成で侵攻してくる。このソ連軍の部隊はカール達と同じエストニア人の
部隊だったが、双方ともなかなか同じエストニア人と分からず激しい
戦闘を続ける。
しかしカールの部隊長が撤退の命令を大声でエストニア語で叫んだため、
ソ連軍側のエストニア人部隊長がその事に気が付き、戦闘中止の命令を
やはり大声で出す。

 

これによりドイツ軍側もそれに気が付き、お互いに唖然と見合うが、ここが
最初の感動的なシーンでテーマ曲も流れる。しかし、既に主人公のカールは
撃たれてしまっている。彼を撃ったソ連軍側のヨギ軍曹はカールの服の
中から彼がしまっていた手紙を見つけ、自分が預かる事にする。そして
彼がここから新しい主人公となるのだが、私は最初は実はカールは何とか
生きてました、という展開になるのかと思って観ていた。しかし残念ながら
そうはならず、いい味を出していたカールの部隊長や友人たちもここで
出番は無くなってしまう。

 

ここまでで映画の半分足らずの時間が終わったので、残りはまた次回で。

 

(続く)

 

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    「浪漫工房」の活動 (12)

    さて若干経ちましたが、去る9月24日にモデフェスに参加させて
    頂きました。予告通り15:00くらいで閉店退場させて頂きました。

     

    modefes2017092401

    上は販売ブースの浪漫工房の写真です。

    写真に映っている通り、LCP(L)は今回も間に合いませんでした…。

     

    下は展示ブースの72nd Armyの展示の一部です。プレートの周りに木製風
    ガードが付いたのが今回の大きな新作?。

     

    あさんのメルカバ(新作)もプレートの上左から2番目にあります…筈ですが
    済みませんほぼ画面外になってしまいました…。

     

    modefes2017092402

    右下の2つの現用戦車はディアゴの塗装済み完成品に手を加えたものの
    ようですが…済みません作者も含めまして詳細不明です…。

    →13日後追記:レベル1/72のPzh2000自走砲とピットロードの90式

    戦車(作者こじこじさん、旧作)だそうです。

     

    左下のはSHOZOさんのマッチBOXのハンバー装甲車。旧作だそうです。

     

    (続く)

     

    追記:モデフェスの他の写真は下記へ↓
    http://firstair.co.jp/modefes/home/pics_modefes/5_modefes_1/
    http://firstair.co.jp/modefes/home/pics_modefes/5_modefes_2/

     

     

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      「浪漫工房」の活動 (11)

      前回の記事でも書かせて頂きましたが、明後日のスケールモデフェス

      「浪漫工房」として参加させて頂く予定です。

       

      …で、これも前回、書かせて頂きましたように、24日に新発売として
      予定してあったLCP(L)141号は、発売が間に合いません。

       

      lcpl04

      写真は印刷した組立説明書の塗装説明の一部ですが、今回はこれらを
      先に作ったのに肝心の本体の量産用のシリコン型も出来なかった、
      という結果となり、非常に残念です。お待ち下さっている皆様には
      大変申し訳ないと思います。

       

      なので、当日は従来品のMTB72とMTB30と若干の中古プラモの販売に
      なると思います。

       

      なお、私は当日会場には家の事情で15:00くらいまでしかいないと
      思います。
      大変申し訳ありませんが宜しくお願い致します。

       

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